リゾネットの処分取消し請求訴訟㊤

東京高裁も請求棄却、上告せず確定 消費者の供述「十分信用できる」地裁判断を支持

 19年3月、関東経済産業局(以下関東局)から特定商取引法違反で15カ月の業務停止命令を受けた、ホテル宿泊等会員権の連鎖販売取引事業者 「リゾネット」(東京都中央区)が行政処分の取り消しを求めていた行政訴訟に関し、東京地裁による請求棄却を不服として同社が控訴していた第二審で、 東京高裁(野山宏裁判長)は6月15日、地裁に続き棄却判決を言い渡した。同社は最高裁へ上告せず、判決が確定している。 同社は上告を見送った理由や国に対する今後の法的対抗措置の余地、業務停止期間の終了を受けた連鎖販売取引業務再開の有無について、 本紙の問い合わせに「弁護士に委任しておりますのでコメントは控えさせて頂きます」と返答した。
「自然かつ合理的な迫真性に富む」
 地裁が1月24日に棄却判決を出したことを受け、2月6日に控訴。5月?日の期日で終結していた。地裁、高裁ともに当事者や関係者の 証人尋問は行われていない。 
 業務停止期間は6月29日に終了。昨年4月の提訴と同時に処分効力停止の申立も行ったが、地裁が8月に却下。高裁への即時抗告も10月に棄却されていた。 最高裁への特別抗告は提起していない。
 第二審では、勧誘の違法性を認定する根拠となった消費者5人の供述の信用性が改めて争点となり、高裁は、供述が「十分に信用することができる」とした 地裁の判断を支持した。
 地裁の判決は、関東局が聞き取った5人の証言を「具体的なエピソードも伴う詳細なもの」「自然かつ合理的な迫真性に富む」「大筋で一致してその信用性を 相互に高め合っている」と評価。これに対して、同社が会員から聞き取ったものは「(同社に)不利益な供述をすることをできる限り避けようとする 合理的理由も動機も有する」などとし、相対的な信用性の低さを指摘していた。セミナーで講師役を務める会社公認の〝プレゼンター〟から得た供述も 「飽くまでも一般的な内容」にとどまるとしていた。
(続きは2020年9月3日号参照)