ダイレクトセリング化粧品 コロナ禍の影響、業績面でも顕著に
コロナ禍の影響は世界中に広がっているが、日本国内でもその深刻さが明らかになってきた。 内閣府が発表した2020年4月~6月のGDP伸び率(速報値)は年率換算27.8%減で、リーマンショック後(2009年1月~3月期、 年率換算17.8%減)を超えて戦後最大の下げ幅となった。ダイレクトセリング業界の化粧品分野においても、 緊急事態宣言前後にサロン営業の臨時休止を余儀なくされ、消費需要も落ち込んだ結果、多くの企業で落ち込みを見せた。 コロナ禍は、世界的に新規感染者数が再び増加傾向にあり、秋~冬にかけてさらなる状況悪化が懸念されている。各社は、 〝ウィズコロナ〟を前提としたビジネスモデルの構築を急いでいる。
損益面は、売上原価率が31.5%で前年同期比9.4ポイント上昇、販管費率が35.2%で同35.2ポイント上昇と大幅に悪化した結果、 営業損失は7億2400万円(前年同期は3400万円の損失計上)、経常損失は7億1300万円(同2400万円の損失計上)、 当期損失は7億2400万円(同3300万円の損失計上)となった。
同社は今期から新中期経営計画を開始する予定だったが、第1四半期はコロナ禍の影響が大きく、 第2四半期以降も不確定要素が多いことから計画の見直しを行っている。連結業績予想については、 コロナ禍の収束が見通せず適正かつ合理的な算定が困難であることから、引き続き未定としている。
事業別の実績は、主力の化粧品事業が売上高が同11.8%減の302億2500万円、セグメント利益が同21.9%減の80億2600万円、 医薬・食品事業の売上高が同8.7%減の82億200万円、セグメント利益が同5.9%減の9億9100万円、 北米での航空事業を含むその他事業は、売上高が同5.5%減の12億9200万円、セグメント損失が1400万円となった。 化粧品事業では、ダイレクトセリングで展開するカウンセリング化粧品をはじめ、 ドラッグストアルートなどで展開するセルフ化粧品ともに低調に推移した。通期業績予想については変更なく、 売上高540億円(前期比8.9%減)、営業利益95億円(同20.8%減)、経常利益97億円(同20.8%減)、 当期利益66億円(同8.7%減)を見込む。
遅れたケースも(アイビー化粧品)〝
同社は今後の見通しについて、テレワークの導入などによって女性の外出機会が減ることで、メーク製品については需要が縮小する一方、 主力のスキンケアについては、生活必需品的な位置づけであることから、影響が限定的とみている。第2四半期の業績予想は期初通り、 売上高21億5000万円(前年同期比3.7%増)、営業利益1億9000万円(同201.4%増)、 当期利益1億4000万円(同303.2%増)を見込む。強化製品の「レッドパワーセラム」および「ホワイトパワーセラム」の 拡販に注力するとともに、恒例のリンクルローションキャンペーンで収益を確保していくとしている。
このほか、ヤクルト本社の2021年3月期第1四半期(4月~6月)における化粧品事業の売上は、 前年同期比3.8%増の?億700万円とプラスで推移した。全体の連結ベース売上高は、前年同期比3.5%減の925億2800万円、 営業利益が同10.7%増の110億4600万円、経常利益が同29.0%増の177億1000万円、 当期利益が同32.3%増の114億1900万円。コロナ禍を背景に、乳製品の販売数量は増加したものの、清涼飲料の売上が落ち込み、 全体ではマイナスとなった。化粧品事業では、コロナ禍によって一部エステサロンにおけるサービス提供の自粛などの影響を受けたが、 感染防止策を講じた上で営業活動を継続した。6月には基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズのブランド育成策および薬用歯みがき剤 「ヤクルト 薬用アパコートS.E.〈ナノテクノロジー〉」の販促を展開した。