ポーラの製品戦略 コロナ禍下での基幹ブランド刷新
ダイレクトセリング化粧品最大手のポーラ(本社・東京都品川区、及川美紀社長)が、新たな一手に乗り出す。 最高峰ブランド「B.A」を9月11日に大幅リニューアルしてスキンケアアイテムを投入する。 1985年の誕生以来、最新の研究開発技術をフィードバックしてきた「B.A」は、2019年度には592億円規模の一大ブランドとなっている。 新「B.A」は、女性のスキンケアニーズの代名詞とも言えるエイジングケア機能を進化させ、訴求力を強化した。同時に、コロナ禍という苦難の時において、 新規・既存ユーザーを確保する重要な役割を担う。サロンでの新メニューやオンラインカウンセリングと連動して、盛り返しを図る狙いだ。
6月17日に開催された新「B.A」発表会は、オンライン上で行われた。冒頭で、「B.Aブランドマネージャー」の高橋佐和子氏は、 コロナ禍で社会経済がさまざまな制約を受けている現状を受けて、「(新B.Aは)不確実な時代における、1つの答え」であると言及した。 社会の変化とともに、美容に求められるものを変化しており、さまざまな分野でつながり、言い換えれば「ネットワーク」の強化が重要だとしている。 さらに、ネットワークの強化には、〝揺るがない自分軸〟こそが核となるとして、新「B.A」は自分軸を構築するための〝本質的な美容行動〟を サポートしていくという。
コンセプトは、「可能性ばかりの、肌たちへ。」。生き方や環境によって「後天的に自分が作り出すポジティブな力」に着目、 「エピ・ハリネットワーク理論」によって新たなアプローチを開発、肌表面上にハリ感を与える化粧膜(ネットワーク)を形成することで、 エイジングケアをサポートするという。具体的には、ライフスタイルや社会的・心理的変化によって遺伝子スイッチのオンオフが切り替わる仕組み 「エピゲノム」に着目した結果、ハリネットワークに関わる遺伝子スイッチを後天的に一斉にオンにするRNA「LINC00942」を見出し、 さらに同RNAの発現量を増やす成分として「仙人穀ロスマ」を慶應義塾大学との共同研究で開発し、新「B.A」に盛り込んだ。 これにより、線維芽細胞を「LINC00942」量が多い〝エイジレス細胞〟にしていくことが出来るという。
ラインナップは、①ローション(120ミリリットル・税別2万円)、②クレンジングクリーム(130グラム・同1万円)、 ③ウォッシュ(100グラム・同1万円)、④ミルク(80ミリリットル・同2万円)、⑤クリーム(30グラム・同3万2000円)など。 9月11日ローションを初めに発売し、順次ラインナップを増やしていく。国内のほか、中国・香港・マカオ・台湾・タイで展開するほか、国内外の免税店で取り扱う。
ボトルデザインは、「魂まで浸透させ、震わす」をモチーフに、1つひとつ異なる配置でレイアウトすることで、動きや変化の兆しを表現した。 カラーは現行品を踏襲したシックなブラックで、〝内に秘めた無限の可能性〟を表現した。さらに、製品外箱には適切な森林管理のもとで作られた木材を使用した 森林認証紙を用いたほか、QRコードを読み取ると使用方法や全成分表示、使用方法が分かるWEBパンフレットを採用した。
ショップでは、5月から「オンラインカウンセリング」も行っている。既に250以上のショップで導入されており、7月には500ショップ、 9月までに1000のショップでシステムを導入する構えだ。同サービスは事前予約制(約30分)で、肌やライフスタイルの悩み、理想の肌など、 さまざまなアプローチでカウンセリングを行い、季節に合わせたお手入れや、実践できるスキンケアやメーク、インナーケア、 生活習慣などをトータルでアドバイスする。必要に応じて製品紹介をするほか、エステのプレカウンセリング、製品購入後のアフターフォローで正しい使い方を レクチャーするなど、ソーシャルディスタンスを維持しながら密度の濃いコミュニケーションを図っている。
さらに、「オンラインカウンセリング」では、家で出来るお手入れやセルフマッサージ、メークの基本といったレッスンを行っており、 体験者からは「オンラインでも親身に話を聞いてもらい、距離が近く感じられた」などの感想が寄せられているという。このほか、旗艦店「ポーラギンザ」や、 PB吉祥寺店のビューティーディレクターによるオンラインコンテンツも7月から配信を開始しており、今後も展開を拡大していくとしている。
サロンやショップは、コロナ禍によって従来とは異なる手法の導入を余儀なくされているが、同社はオンラインオフライン両軸で新しい〝ネットワーク〟の 構築を進めている。肝いりで発売する新「B.A」が、新しい戦略の中でどのような役割を果たしていくの、注目される。