ナリス化粧品 強み活かしたブランド戦略 シェア1位の「ふきとり」多様なチャネルで強化

 ダイレクトセリング化粧品企業にとって、ブランドの強化・刷新は重要な施策と言える。新ブランドの投入は、新規顧客の獲得につながる施策であり、 従来とは異なるマーケティング手法を用いることも少なくない。既存の愛用者ニーズを踏まえながら、新規ユーザーにも訴求できる新しい強みをもたせるというバランスがポイントとなる。 老舗化粧品企業のナリス化粧品(本社・大阪市福島区、村岡弘義社長)における、製品面での最大の特徴は、創業来培ってきた化粧品の研究開発を背景にしたふきとり≠フノウハウにある。
主力の訪販事業では、主力ブランド「ルクエ」の刷新によって訴求力を強化。また、一般流通向けのブランドにおいても、ふきとり≠ヘ他社との差別化を図る大きな強みとなっている。
 1月21日に発売したスキンケアブランド「ルクエ」は、今回で3度目のリニューアルを果たした。
 「ルクエ」は、最高級ラインの「セルグレース」、基幹ラインの「マジェスタ」などと並び、ナリスブランドを象徴する主力スキンケアライン。「ルクエ」はナリスブランドへの入り口 という位置づけで、リーズナブルな価格で同社化粧品や美顔器を使用できるセルフエステサロン「デ・アイム」とともに、新規ユーザーを獲得するツールとして販売現場でも活用されている。 価格帯は、ダイレクトセリング系の化粧品としては普及価格帯(税別2200円〜4000円)であり、「セルグレース」や「マジェスタ」に購入しやすいシリーズという印象を受ける。 今回のリニューアルでは、さまざまな角度から手にとりやすさ≠高め、多様化する女性の価値観やライフスタイルに対応して多くの女性が使いやすいブランドとして生まれ変わった。
 製品特徴としては、従来の「ルクエ」に配合している「黒ニンジンエキス(カロット液汁)」や「白花豆エキス(ベニバナインゲン種子エキス)」に加え、海藻の「カズノイバラ」から抽出した 「モーイエキス(アルゲエキス)」を全品に配合。同社の研究によると、「モーイエキス」には、ストレスによって低下した皮膚バリア機能を改善する効果がある。 また、ナリス化粧品の美容理論の根幹を成すふきとり化粧水「コンク」には、オリジナルのふきとり成分である「純化白花豆エキス(ベニバナインゲン種子エキス)」を新たに配合した。 使い心地は、女性自身が「自分の肌の変化にしっかりと気づき、必要なお手入れを適切に行う」という基本に立ち戻り、正しい使い方や肌の変化を感じやすさを重視。 事前に実施した2週間連続の実使用テストでは、8割以上の女性が効果を実感した。
 新「ルクエ」は、増客≠ミッションとしたスキンケアブランドで、今回のリニューアルでも分かりやすさ≠随所に取り入れた。各製品の紹介では、「ふきとって、つるつる。」(コンク)、 「ごくごく、満たす。」(ローション)、「すー、ぴたっ。もちもち肌に。」(ミルク)というように、オノマトペを採用。従来は、販売員向けのセミナーなどでも、 特徴成分などを理論的に説明して訴求する傾向が強かったが、新「ルクエ」では、近年はSNSの流行などを背景に、短いメッセージで訴求する叙情性重視のマーケティングが トレンドになっていることを受けて、実感ポイント≠ェ伝わりやすい手法を取り入れた。現場でユーザーに紹介する販売員も、この辺りの発想の転換が求められるが、 事前に行った使用感テストにおいても、従来の説明よりも、オノマトペを採用した手法の方が高い効果を得られたという。
 新「ルクエ」はまた、同社の美容理論であるふきとり、即ち「コンク」を改めて主役に位置づけた。BBクリームなど、1品で化粧水や乳液、ミルクなど複数の機能をもつマルチパーパス アイテムが化粧品市場で人気を博す中、新「ルクエ」においても、1品でふきとりと保護化粧水をこなす「オールパーパスローション」をラインナップしている。 ただ、「コンク」のつるつる≠ニ、「ローション」のごくごく≠兼ね備えたアイテムは、ともすれば効果実感が分かりづらくなる場合もあることから、改めて「コンク」にフォーカスすることで、 紹介する側・される側、双方にとって分かりやすいアプローチに変更したという。新「ルクエ」は、機能性の向上にとどまらず、マーケティングや販売員研修など、 さまざまな部分で新しい試みが取り入れられているのが大きな特徴だ。
 ナリス化粧品は、ふきとり化粧水で国内トップシェアを誇っており、ふきとりは文字通り同社の原点と言える。ふきとり用化粧水の国内市場は194億円(2017年度)で、トップはナリス化粧品 (30億円)、これにドクターシーラボ(22億円)、ELCG(20億5000万円)、資生堂(17億円)、P&Gジャパン(15億5000万円)と続く。
ニーズ組み合わせた「ネイチャーコンク」
 ナリス化粧品では、さまざまな販売チャネルで「ふきとり」アイテムを展開しているが、一般流通向けの人気アイテムは、2013年の発売から累計販売数量250万本を販売している 薬用角質ふきとり化粧水「ネイチャーコンク」だ。これまでに、1本で6役をこなす多機能ローション「ネイチャーコンク薬用クリアローション」、 高保湿化粧水「ネイチャーコンク薬用クリアローションとてもしっとり」、多機能の美白オールインワンゲル「ネイチャーコンク薬用モイスチャーゲル」をラインナップしており、 多忙な世代の女性を中心に支持を集めてきた。今回、新ラインナップとしてふきとりシート「ネイチャーコンク薬用ふきとり化粧水シート」(15枚入り・オープン価格)を3月23日に発売する。
 近年の夏は猛暑が続いており、外出先での汗ケアのニーズが高まっている。「ネイチャーコンク」は、もともとふきとりを兼ねたオールインワンタイプのアイテムとして需要があったが、 シートタイプの化粧水の需要が高まっていることを受けて、「ふきとり化粧水シート」を発売する運びとなった。汗のケアだけでなく、外出先で美白ケアと角質ケアができる顔・全身に 使用できるふきとり化粧水シートという位置づけで、汗やべたつき、においをふきとるだけでなく、肌の露出が多い季節でもうるおいと透明感のある健やかな肌を整える。
 ふきとり化粧水を含んだ3層構造のシートが、古い角質をすっきり取り除き顔や身体を整える。また、くすみや乾燥の原因となる余分な古い角質や毛穴汚れだけでなく、においの元となる汗、 汚れ、古い角質、ベタつきも取り除く。特徴成分として、プラセンタエキス、グリチルリチン酸ジカリウムを配合したほか、透明感を高める天然由来の保湿成分(ヨクイニンエキス、 サボンソウエキス、ユキノシタエキス、ヒアルロン酸)を配合した。1枚で美白、角質除去、朝の洗顔代わり、保湿、肌荒れ防止、浸透アップをサポートする。肌にやさしいアルコールフリー 処方で、アルコール入りの化粧品が苦手な人も使用できる。ニーズが高まっているシートタイプの化粧水とふきとりを含む多機能性を組み合わせることで、さらなるニーズ獲得を図る構えだ。