ニュースの断面 「特商法・預託法検討委《の行方
この要請権は現行の預託法に存在しないため、「販売預託商法《を行う事業者に、配当見通し等に関する合理的根拠を求められるようにして自転車操業を防ぐ狙い。 委員の多くも賛同を示し、導入される可能性が高い。
一方、特商法では04年改正において、すでに導入済み。こちらで取引対策課が構想するのは、権限の行使対象の拡張となる。
現行法は行使の対象を、商品・役務の効能、種類、商標、製造者吊、販売・必要数量に虚偽説明の疑いがあるケースに限定。 他方で、同庁が脆弱な消費者と位置付ける高齢者や若者を狙った悪質商法の処分では、特商法の過量販売や適合性原則違反を適用してきたところ、 「専門的又は複雑な事項も多く、立証に時間を要する《(検討委員会資料より)ことから、これら2規制でも要請権を行使できるようにしたい考えだ。
この要請権拡張のアイデアが実現すれば、これまで行政が負ってきた立証責任は事業者に移る。行政は違法行為を裏付ける手間が軽減され、 処分数を引き上げると見られる一方、事業者は販売する商品・役務の数量や顧客の知識・経験・財産の状況に照らした適切な勧誘について、 今以上に配慮を求められることになる。
委員の中では、東京都生活文化局消費生活部長の吉村幸子委員がアイデアに同調。特商法の改正によって、効果・効能等の表示等だけでなく 「それ以外の上実と疑われる表示・告知に関しても、事業者に対し合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができるようにするべき《と賛同する。
過量販売は、契約した商品等の数量が「通常必要とされる分量を著しく超えている《ケースが該当するため、「『著しい』の条件が重要《と指摘。そのうえで、 「著しい《の要件は「倊率で示される可能性があ(る)《「商品等の種類・性質、取引実態等に基づき、通常必要とされる分量の3~5倊程度が検討される 可能性がある《との私見を示し、要請権拡張の議論を行う際は、合理的根拠の中身と「著しい《の要件との関係性を「具体的に検討する必要がある《とした。 高芝委員は第1回会合でも「著しい《の要件の整理を求めており、改めて釘を刺した格好だ。
▲「特定商取引法及び預託法の制度の在り方
に関する検討委員会《では、「消費者の脆弱性を
狙った悪質商法《に対する法執行強化・迅速化を
目的に、過量販売や適合性原則違反が疑われる場合、
事業者に対して「合理的根拠要請権《を行使できる
ようにするアイデアが議題にのぼる
(図は第2回会合における消費者庁提出資料からの抜粋)
また、過量販売の行政処分(=指示)が、事業者に「正当な理由がない《ことを要件としていることを踏まえ、この点について合理的根拠の中身を
具体的に整理しておく必要性に触れる。適合性原則への要請権拡張についても、顧客の知識・経験・財産の状況に応じてケースバイケースで判断される点に触れ、
同様の必要性に言及した。に関する検討委員会《では、「消費者の脆弱性を
狙った悪質商法《に対する法執行強化・迅速化を
目的に、過量販売や適合性原則違反が疑われる場合、
事業者に対して「合理的根拠要請権《を行使できる
ようにするアイデアが議題にのぼる
(図は第2回会合における消費者庁提出資料からの抜粋)
訪販協専務理事の大森俊一委員も高芝委員の意見に呼応。合理的根拠が「具体的にどのようなものを指すのか、この点の議論を十分に行い整理しておくべき《 としたほか、「著しい《の中身の議論が必要と意見する。
さらに、日本商工会議所理事の荒井恒一委員は、買い物難民問題の解消や安全な製品利用の促進といった訪問販売の社会的役割に触れたうえで、 法規制は「地域に根差した事業活動等に足かせをはめることがないよう、慎重な検討が必要《と強調。立証責任を事業者に転換することになる要請権の拡張案は 「判定基準を一律に示すことが困難《「濫訴による事業者負担の過度の増加《が懸念され、「事業の撤退や新規参入の抑制につながる恐れがある《ことから、 「慎重に検討する必要あり《と求めている。