WILL 連鎖販売処分の「不服審査請求」却下へ
▲レンタルオーナー商法で業務 禁止命令を
受けた「WILL」 役員6人の不服審査請求
について、 消費者庁から諮問を受けた行政
不服審査会が、請求却下を相当とする答申
(=写真、請求者名は匿名)を公表
連鎖販売取引を利用した電話機用USBメモリのレンタルオーナー商法(販売預託商法)に特定商取引法で消費者庁から行政処分を受けた「WILL(ウィル)」
(以下W社、東京都渋谷区)の役員らが、処分の取り消しを求める不服審査請求を行い、総務省の行政不服審査会(以下審査会)から請求の却下を相当とする
答申を出されたことが分かった。取り消しを求めた処分は、18年12月に出された15カ月の業務禁止命令で(同時にW社にも同期間の業務停止を命令)、
消費者庁は禁止期間が終了する日の前日に審査会へ諮問を行っていた。このため審査会は答申で、行政不服審査法に定める簡易迅速な審理の観点から、
同庁における事件進行管理の検討の必要性に言及している。受けた「WILL」 役員6人の不服審査請求
について、 消費者庁から諮問を受けた行政
不服審査会が、請求却下を相当とする答申
(=写真、請求者名は匿名)を公表
その後、今年1月31日に審理員から意見書が提出されたことを受け、3月19日に長官が審査会に諮問。業務禁止期間は3月20日までで、この1日前に諮問された形。
諮問では、処分の取り消しを認める理由がないとして、6人全員の請求を棄却すべきと主張。さらに、この諮問の直後に業務禁止期間が終了したことから、 4月2日に諮問説明書の補充書を審査会に提出。この中で、禁止期間の終了によって6人が処分の取り消しを求める「法律上の利益を喪失する」(答申より)ため、 6人全員の審査請求は「利益を欠く不適法な請求として却下すべき」(同)と改めて求めていた。
一方、審査会は答申の中で、消費者庁長官による諮問が事実上、先延ばしにされていた経緯に言及。長官が6人の不服審査請求を受理した後、 「約10か月以上が経過した令和2年1月31日付けで各審理員意見書が提出」(答申より)されたことや「約1か月半以上が経過してからようやく本件各諮問がされた」 (同)こと、諮問の翌日に業務禁止期間の最終日を迎えた期限利益喪失の結果として請求却下の主張を行っている点に触れて、 簡易かつ迅速な手続き・審理を求める行政不服審査法の条文(※)をもとに、「今後、審査庁においては、審査請求事件の進行管理の仕方を検討する必要がある」と 注文をつけた。
「一方の主張について、もう一方に意見を求めると、その回答が返ってくるのに1月くらいかかる」「その過程で、最初の審査請求書になかった新しい話が出てくると、 さらに確認を要する」「そのような往復の繰り返しで、時間を取られた」「審理不信を起こさないようにと、双方の主張をきちんと聞こうとすると、〝簡易迅速〟 という点はどうしても失われがちとなる」。W社側の請求内容が「本来なら訴訟でやるべきような案件」だったことも調査を手間取らせたとした。
行政不服審査法は、審査請求の受理~裁決にかかる「標準審理期間」を審査庁が定めることを努力義務に規定している(第16条)。
また同法は、請求者の申し立てがあれば審査庁が処分効力を一時停止できる規定を設けているが(第25条2項)、W社側より停止の申し立てがあったかどうかについて 総務課は「個別の案件には答えかねる」「一般論として言えば、申し立てがあれば優先して迅速に判断している」とした。
※
第1条「この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てを
することができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。」
第28条「審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審理員は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、
相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。