「特商法・預託法検討委員会」の行方㊦ NMI宮澤代表に聞く 合理的根拠過量拡張案 「真面目な事業者、影響考えにくい」〝池本ペーパー〟で消契法踏まえ 勧誘規制提案、 「非常に心配」

▲ネットワークマーケティング研究所 
  宮澤 政夫代表
 前回(3月19日号4面)に続き、「販売預託商法」の法規制等をテーマとする消費者庁「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」(以下検討委員会)の 審議の見通しなどについて、連鎖販売取引を中心に業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所の宮澤政夫代表(=写真)に聞いた。
 
適合性原則への拡張案、影響は不透明
消費者庁は、高齢者や若者を狙った悪質商法の処分を強化するためとして、特商法にある合理的根拠要請権(※1)の行使対象を過量販売に拡張するアイデアを示した。
 「仮に過量販売に拡張された場合でも、真面目な事業者であれば大きな影響が出ることは考えにくいのではないか。現行法だと、過量販売は訪問販売と電話勧誘販売に存在するが、 これが連鎖販売取引に入って合理的根拠の提出要請対象にもなった場合も、真面目な事業者への影響は特になさそうに思う」

  ―――合理的根拠要請権については、行使対象を適合性原則違反に拡張するアイデアも示した。
 「適合性原則が対象となった場合の影響はよく分からない。実際に処分で使われて、初めて見えてくる部分が大きいように思う。
高齢者、若者の消費者トラブルの抑止を目的とした法律の見直しや執行強化の行方に関しては、委員から別のアイデアが出てくる可能性もあるだろう。議論の行方を注目している」
  ―――2月18日の初会合では、複数の委員からクーリング・オフ期間の延長を求める意見が出た。
 「出た意見は、訪問販売等での8日間をEUレベルの日間に伸ばすことを求める内容だった。連鎖販売取引は以前から20日間。反対する理由は特にない」
「二重の利益」標ぼうする連鎖の規制提案
 検討委員会のキーパーソンの一人と言える池本誠司委員から提出された、論点整理書(※2)について気になったところは。
 「〝池本ペーパー〟は、預託法の抜本改正だけでなく、特商法の見直しのあり方についても細かく触れている。第1回会合では、 委員1人あたりの持ち時間の関係で池本委員から直接の趣旨説明はなかったということだが、幾つか気になる点があった。その一つが『悪質な連鎖販売取引による被害への対策』として、 『商品等による利益収受と紹介利益の収受との二重の利益を標榜する連鎖販売取引は規制すべきではないか』と提案している箇所になる。(続きは2020年3月26日号参照)