「特商法・預託法検討委員会」の行方㊤ NMI宮澤代表に聞く販売預託商法とPフォーム問題 「次元の異なる課題、同じ土俵に」消費者庁と委員の論点にギャップ「どう埋めるのか」

▲ネットワークマーケティング研究所 
  宮澤 政夫代表
 破たんした「ジャパンライフ」に代表される「販売預託商法」の効果的対策について夏を目途に一定の結論を得るため、消費者庁の「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」 (以下検討委員会)における議論が始まった(3月5日号4面、同12日号1面既報)。抜本修正の可能性が高いのは預託法だが、特商法も、 高齢者や若者をターゲットとする悪質商法への対策を狙いに見直しが予定されている。16年の前回改正(施行は17年12月)から4年ぶりとなる審議の見通しについて、 連鎖販売取引を中心に業界の課題を分析するネットワークマーケティング研究所(横浜市)の宮澤政夫代表(=写真)に話を聞いた。(インタビュー実施日は2月27日)

定期購入トラブルは脆弱性対策の課題
  ―――2月18日に検討委員会の第1回会合が開かれた。気になった論点を伺いたい。
 「それについて触れる前に、まず問題だと考えることがある。検討委員会では大きく二つの課題が示された。
一つが、預託商法問題と特商法改正を柱とする 『消費者の脆弱性につけ込む悪質商法への対策強化』、 もう一つがデジタルプラットフォーム関連問題に対応する『経済のデジタル化・国際化に対応したルール整備』になる(図参照、検討委員会事務局の作成)。
 しかしこの二つは、本来は別々の委員会なりワーキンググループなりで検討すべき内容のはず。前者は短期間に対策を立てることが求められている課題で、 後者は影響が広範囲に及ぶため議論に時間をかける必要がある課題。にもかかわらず、まったく次元の異なる課題を同じ土俵にのせて、議論しようとしている」 
―――課題の仕分け方に疑問があると。  「プラットフォームの問題は別に委員会が開かれており(※1)、そこと相互に連携した議論を行っていくという。が、だとしても、 検討委員会にはプラットフォームの問題に詳しいと見られる委員の顔が窺えない。
 消費者庁の資料だと、いわゆる『定期購入トラブル』の問題は、プラットフォーム関連にくくられている。定期購入の件に詳しいと見られる委員は複数名が窺えるため、 その意味で人選を間違ってはいないのかもしれないが、課題として扱うなら定期購入問題は『消費者の脆弱性につけ込む悪質商法への対策強化』のほうがふさわしい。 そもそもプラットフォームの問題は特商法で何とかなる話でもなく、ほかに適当な法律があるはず」
(続きは2020年3月19日号参照)