エフエムジー&ミッション LG生活健康とのシナジー強化「ミッション」ブランド大幅刷新 高価格ラインをテコ入れ

エフエムジー&ミッション(本社・東京都港区、中陽次社長)が旧社名(エイボン・プロダクツ)から装いを新たにスタートして約半年。2019年は、同社が日本上陸して50周年という節目の年だった。 中社長は、2018年の体制変更(=LG生活健康傘下)や社名変更を踏まえ、新たな周年に向けて施策を打ち出すとしてきた。昨年後半から、徐々に新体制下での取り組みが本格化している。 特に顕著なのは商品政策で、LG生活健康の研究開発・生産体制をバックボーンに、旧エイボン時代とは異なるカラーを見せ始めている。 社名に冠した「ミッション」は、同社の基幹スキンケアブランドとして長い歴史をもつ。そのブランド名を保持しつつ、次の50年に向けた“古くて新しい”ブランドとして刷新する狙いだ。
二極化する女性ニーズを踏まえ
  新社名のエフエムジー&ミッションは、同社の主力メイクアップブランドとスキンケアブランドを組み合わせたものだ。社名からは「エイボン」という名は消えたが、エイボン・プロダクツが長年 扱ってきた商品は変わらず、メンバーにお届けするという〝想い〟を新社名で表現したものと言える。その基幹ブランドについても、旧体制時と変わらぬままでは、 いずれ現代女性のニーズに合致しなくなる。同社は、親会社であるLG生活健康の研究開発体制をフル活用するために、同社は昨年後半から「ミッション」ブランドの刷新に乗り出している。
 昨年10月に発売した大型スキンケアブランド「ミッション スムマ」は、LG生活健康のシナジーを活かして、韓国の「発酵研究所」による発酵成分を配合したスキンケアライン。 価格帯は、税別1万円~3万5000円、シリーズ5品を揃えると9万5000円というハイブランドだ。旧エイボン時代の「ミッション」は、酵母エキスを特徴とする「ミッション Y」をはじめ、 さまざまなラインナップを取り揃えていたが、「スムマ」のような高級ラインは初めて。化粧品市場では、ドラッグストアを中心にコストパフォーマンス重視のオールインワン化粧品が高い支持を集めている。 その一方で、「シワ改善」など、最新の研究開発をフィードバックした高機能・高価格アイテムも美容に高い関心をもつ層に人気で、二極化の様相を呈している。ダイレクトセリング化粧品企業では、 中価格~高価格帯が売れ筋だが、旧エイボンはそれらの中では購入しやすい価格帯が特徴の1つであった。「スムマ」は他のダイレクトセリング化粧品と同様、 高機能・高付加価値で勝負できるラインナップ。容器デザイン、高級感のあるゴールドをイメージカラーに採用するとともに、曲線の多いボトルを用いて高級感を高めた。
高機能化粧品   〝発酵〟テーマに開発
 そして今回、「スムマ」を頂点とする最高峰ブランドのコレクションとして、「ミッション ラグジュアリー」を上梓。2月7日に、「ミッション リュクスレーヴ」「ミッション エクラ LX」 「ミッション クルルージュ」の計品目を一斉に発売した。それぞれの価格帯は、「リュクスレーヴ」が8000円~2万5000円、「エクラ」が6000円~1万3000円、 「クルルージュ」が5000円~1万1000円となっている。同社を代表する既存スキンケアブランドの「ミッション Y」の価格帯が3900円~5700円であることを踏まえると、 いずれのブランドも1ランク以上高価格帯に位置している。「スムマ」に至っては、さらに上のランクに位置している。
 「スムマ」をはじめとする「ミッション ラグジュアリー」の各ブランドは、「Ultimat e Change」(美の根源からの変化)。 いずれも韓国の発酵専門研究機関「発酵研究所」が開発した自然発酵成分「サイトファーム」を共通成分として配合している。前述したように、発酵研究所と同社のつながりは、 LG生活健康のシナジーによって生み出されたもの。旧エイボン時代とは異なる新たな商品開発体制に移行したことが、今回のブランド刷新から窺い知ることができる。発酵技術を用いた化粧品は、 前出の「ミッション Y」のように同社が得意とする分野だが、この強みをさらに高めるために、LG生活健康とのパイプを活用したと言える。
 「スムマ」以外の3ラインの特徴をみると、「リュクスレーヴ」(計6品)は、〝AGEs(糖化物質)〟に着目したエイジングケアライン。古来伝承の植物を配合した「メディプラントコンプレックス」と、 高貴な花々から抽出した「ロイヤルフラワーコンプレックス」を配合し、くすみ、乾燥などの原因とされるAGEsをカバーする。ブランドカラーはロイヤルブルー。
 「エクラLX」(計5品)は、見た目年齢を左右するエイジングサインのケアをコンセプトとしている。「エクラ」ブランドは2008年に誕生し、2015年にリニューアルを実施。
〝遺伝子〟に着目した成分が特徴の同ブランドは、今回、保湿力の高いイタドリの根から抽出した「新プロサーチュインα」を配合し、肌にうるおいを与えてケアするという。ブランドカラーはホワイト。  「クルルージュ」(計4品)は、赤い植物の「クルルージュコンプレックス」(ザクロ、アカツメクサ、ハイビスカス)を配合し、女性のゴールデンエイジがもたらす肌変化に着目。 しっとりうるおい、弾力とハリのある肌に導くという。ブランドカラーはレッド。
 「スムマ」をはじめとする4ブランドの「ミッション ラグジュアリー」は、いずれもエイジングケアに着目したラインナップとなっているが、価格帯やエイジングケアのアプローチがそれぞれ異なり、 ニーズに合わせた提案を行えるようになっている。「ミッション」ブランドにはエイジングケアと並んで人気の高い美白ブランド「ミッション ホワイト」もラインナップしているが、「―ラグジュアリー」 には含まれていない。
メンバーが提案できる商品揃え
 年間20回近いキャンペーンに合わせたカタログ頒布という独自スタイルを採用する同社は、化粧品だけでなく、健康食品や日用生活品など、さまざまな商品をカタログに掲載して訴求している。 メンバー(旧エイボンレディ)は、キャンペーンごとに顧客にカタログを届け、コミュニケーションを図りながら商品を販売してきた。このスタイルは、エイボン時代から変わっていない。
 今回、同社が高価格ラインを相次いで投入したのは、新体制の方針を明確に打ち出すことが狙いだ。加えて、どちらかと言えば〝薄利多売〟の傾向にあったメンバーの活動を、 高価格アイテムも取り揃えることで、より収益を上げやすい方向に導くという側面もある。化粧品市場で二極化が進む中、価格競争では一般流通や通販に勝つことは難しい。対して、 高機能アイテムによるコアユーザーの獲得は、クローズドマーケットであるダイレクトセリングにおいては、ある意味正攻法とも言えるだろう。
 このほかにも、同社ではプロポリスエキス配合のコスメブランド「CNP Laboratory」、スキンケアライン「BEYOND ANGEL AQUA」といった新ブランドを投入している。 いずれも韓国で人気を博しているコスメブランドだ。エイボン時代は〝欧米の舶来ブランド〟というイメージだったが、新体制になり、少しずつそのイメージも変わりつつあるようだ。