新型コロナウイルス問題 イベント、ツアーの中止・延期相次ぐ 参加費返金、日程の振替など対応卸先のインバウンド売上減少も

 昨年12月より中国から海外へ感染が広がっている、肺炎を発症する新型コロナウイルスの影響が日本国内のMLMマーケットにも及んでいる。感染リスクを未然に防ぐため、 2~3月に予定されていた会員参加型のイベント、インセンティブツアーを中止、延期する会社が相次いでおり、会場のキャンセルや開催日の振替、 参加費の払い戻しといった対応に追われている。現時点で実施予定の会社も中止・延期の可能性を視野に、ウイルス問題の行方を注視している。
 MLM業界でいち早く、ウイルス問題で判断を下したのはハーバライフ・オブ・ジャパン。2月8日~9日にパシフィコ横浜・会議センターメインホールで予定していた 全国大会「ジャパン・スペクタキュラー2020」の延期を、開催3日前の同5日に告知した。振替開催は秋以降を検討しており、会員が購入済みの参加チケットは そのまま利用できるほか返金にも対応する。
 同大会は年1回開催している同社最大のイベント。APACリージョンのマネジメントクラスやトップリーダー会員も来場を予定していた。 同日程で同名イベントを予定していた台湾、香港・マカオ、マレーシア、ベトナム、タイの5カ国・地域も、ウイルス問題を理由に延期を決めている。
 同社によれば、前払いしていた会場の使用料は全額がキャンセル費に充当されるという。「延期の場合、振替の開催を3月末までに行えば追加料金なしで会場を利用できたが、 そういう分けにもいかなかった」。同社は、入居ビルの1階で運営する「東京トレーニング・センター」についても会員グループによる貸切利用の受付を一時停止している。  
 KZ1も迅速に動いた一社。2月3日、2週間後の同16日~17日に控えていた熱海のリゾートホテルでの研修旅行の延期と、日程の5月17日~18日への振替を告知した。
 新規紹介実績に応じて旅行への参加権を得られるキャンペーンを昨年10月~今年1月に実施。昨年12月時点で約200人が権利を得ていた。 会員に貸し出しているミーティングルーム等を併設する本社オフィスも、2月1日から2週間の一時閉鎖を決定。同時期に予定していた会社主催のイベントは中止した。
 海外11カ国に展開するナチュラリープラスは、台湾法人が2月3日、国立体育大学総合体育館で同22日に開催予定だったイベント「DASH2020」を中止。 日本の全国大会にあたる年間最大イベントで、毎年、日本からも多数の参加があった。
 今後はマレーシア法人が、同じく全国大会にあたるイベント「MY KIZUNA」を4月18日に予定。こちらは2月17日時点で開催を予定している。 香港法人ではセミナー、イベントの開催可否を会員との話し合いで決めているという。
 海外の拠点で営業時間の短縮、閉店などの措置は取られていない一方、スタッフはマスクを着用。サロンを訪れる会員にもマスクの着用をお願いし「安心して過ごせるオフィス・ サロン運営を心掛けている」とする。
 2月26日、大阪のウェスティンホテルで表彰・トレーニングイベントの「プロ3カンファレンス」を予定していたライフバンテージジャパンは、同17日の社内ミーティングで 開催の中止を決定した。
 初期タイトルにあたる「プロ3」の昇格者やそのアップライン、リーダークラスを集めて4~5カ月毎に行われており、毎回百数十~2百数十人が参加。中止にともない、 来場予定だった新「プロ3」には、参加資格を6月16日の次回開催(会場はヒルトン名古屋)に持ち越すことを伝えた。
 また、米国本社のあるユタ州で3月11日~16日に実施されるグローバル主催のインセンティブツアー「プレミアプロ5サミット」は、 日本会員の達成者の参加を見合わせることも決定。こちらの参加資格は9月の次回実施分に持ち越す。
 製品に関しては、中国産の成分を含む品があることから、本社のオペレーション部門で「状況を確認中」としている。
  ネオラジャパンは2月27日から9日間の日程で、クルーズ船でアジア各地を回るインセンティブツアーを組んでいたが、2月上旬までに中止を決めた。同社は同3日、 米国本社による撤退の通告を受けたが、ツアー中止はこれと無関係に決まっている。
 ツアーには、招待条件をクリアした会員11人とその同伴者5人、会社スタッフ合わせて20人近くが参加を予定。 しかし、乗船予定だったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号が感染者を出して2月3日、横浜港に到着。キャンセルを検討していたところ、 船の運営会社から返金に応じる方針が示され、中止を決めた。
 ベトナムのハノイ市、ダノン市を2月29日~3月4日にかけて訪れるインセンティブツアーを組んでいたアフロゾーンジャパンも延期を決定。 振替日程は2月日時点で「未定」とした。
 新規紹介実績や傘下リーダーの育成実績の条件をクリアすると、ツアーに招待するキャンペーンを昨年10月~今年1月に実施していた。 なお、6月に韓国本社が開くコンベンションの招待キャンペーンについては、予定通り3月~4月に行うとしている。
 サンクスアイは、3月4日~5日に東京ドームシティホールで世界大会にあたる「グローバル表彰イベント2020」「グローバルコンベンション2020」の開催を 予定していたが、2月13日、中止を告知した。
 参加予定だった会員には、参加費の全額返金かイベントで発表予定だった新製品の受領のいずれかを選んでもらう。会場使用料は全額がキャンセル費に回される見通しで、 次回の開催は「現時点で未定」とした。
 同社はアジアの7カ国・地域に展開。今回の大会に合わせて海外の会員を招待するインセンティブツアーを企画し、「400~500人」が来場を予定していたが、 同ツアーの延期も決めた。各国の法人は「会員の安全を最優先に、自国での動向を注視して適宜対応している」という。
 国内の他の影響は、製品の梱包・包装資材について「現在、関係各所と調整を行っている」とした。
 アリックスジャパンは、米国本社が3月20日~22日にマカオで予定する世界大会「ワールドリユニオン2020」に日本会員1000人の参加を計画していたが、 2月4日、大会の中止を告知した。
 会員はバックオフィス経由で現地ホテルを予約でき、大会会場で製品購入等に利用できるクーポンが付いた。参加予定だった会員への返金の手続きは今後、 確定次第、連絡されるとしている。国内では今年、会社主催イベントを計画していない一方、会員が主催するイベントは1000人規模のグループによるものが複数計画されている。
 エックスワンは2月12日時点で、同22日のベルサール御成門タワーにおける全国大会「FIESTA GRANDE」を予定通り開催する方針。 6月に予定されている、前年のインセンティブ企画達成者を招待するハワイツアーにも変更はない。
 一方、MLMとの2本柱である卸事業については、大口の卸先である大手免税店・ラオックスのインバウンド売上に「大きく影響」が出ているとした。 ウイルスが発生した中国からの訪日観光客の減少で、来店者も減っていることが理由。ラ社は2月14日、ウイルス問題にともなう旅行客のインバウンド需要減少を受け、 グループ全体で160人規模の希望退職募集を発表している。(続きは2020年2月27日号参照)